SCHOLAR

採択奨学生の動き

奨学生がソーシャル・スキル・トレーニングを受講

『日本財団夢の奨学金』の奨学生が参加した、ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)の講習会と2024年度第1回交流会が、8月20日(火)シェラトン都ホテル大阪(大阪市)にて開催されました。午前中にSSTのプログラム「身だしなみセミナー」が実施され、午後からは奨学生およびソーシャルワーカー、日本財団職員も参加して交流会が行われました。
 

ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)の様子

 
自立して生活していくための技術を学ぶ
 
ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)は、日本財団の助成などにより、大阪児童福祉事業協会 アフターケア事業部が、大阪府下等の児童福祉施設に入所中や里親家庭の高校生を対象に 2001年から毎年実施しているプログラムです。今年度はビジネスマナー、食事のマナー、話し方セミナー、職業適性、金融教育、スマートフォンの安全な使い方、身近な法律の話など、ひとりで生活するために知っておく必要のある合計14回のプログラムが計画されています。
 
奨学生はこの14回のプログラムのうち、希望するプログラムを2回選んで受講することができます。この日は『第3回 身だしなみセミナー』が開催され、希望して参加した17名の奨学生が社会人としての基本的な身だしなみについて学びました。
 
主催のアフターケア事業部からは、「この講習会は、就職試験を受けて内定した会社での研修会をイメージして組み立てられています。受講者は社会人としての心構えを持って講習を受けてください」との開始の言葉がありました。
また「皆さんが施設や里親家庭を出て、自立生活をする前に経験してもらいたいという思いで始めたSSTも今年度で22年目になりました。皆さんの先輩方が、せっかく会社に勤め始めても、服装や身だしなみを注意されて、どこが悪いのか分からないと悩んでアフターケア事業部に相談に来てくれた姿を見てきました。ネクタイを結べなくて遅刻をしてしまった先輩もいました。一生懸命にやっているのにうまくいかない。そんなことを少しでも減らすには、あらかじめ服装やお化粧、身だしなみとおしゃれの違いを知っておけばいい。さまざまな自立のための知識と経験を身に着けてほしい。私たちはそう考えて、これまで相談を受けたことをこのSSTのプログラムに反映させ、企業のご協力をいただいて実施しています。ぜひそのことを胸に留めてしっかり学んでください」と挨拶の言葉がありました。
この後、受講者は男性講座と女性講座の会場に別れて講習会がスタートしました。
 

「身だしなみセミナー」始まりのご挨拶

 
社会人として「スーツの着こなしとお手入れ」
 
スーツの着こなしなどのマナーや身だしなみの講師は、株式会社AOKIが務めてくださいました。講習はまず「身だしなみとは何か」というところから始まります。
「定義は『人に不愉快な思いをさせないように、服装などに気を配ること』ということで、ベストな身だしなみはどのようなものかというと、1つ目は清潔感があること、2つ目はTPOに合っていること、3つ目は機能的であることです。
 
おしゃれと身だしなみは異なります。おしゃれは自分の好み、自分本位のものです。一方、身だしなみは周りの人に好印象を持っていただくこと、他者の目線を尊重するものです。『相手からどう見えているか?=相手目線』で考えた服装やヘアスタイル、メイク等を心がけましょう」と講師より。
 
人の第一印象は6秒で決まること、第一印象を決める要因は「表情・身だしなみ・しぐさ」という視覚情報が55%を占めていることなど、興味深いお話が続きます。スーツの価値は値段やブランドではなく、着こなしによって決まるとのこと。着こなしのチェックポイントは、男性も女性も「サイズが合っているか? シワでクタクタになっていないか?」、そして意外ですが「靴が汚れていないか?」ということが大切とのことです。
 
男性向けにはジャケットのボタン別の着用の仕方、スーツの色が与える印象、適正なサイズをどこで確認するか、小物の扱いなどの解説の後、ネクタイの結び方の講習がありました。ネクタイは株式会社AOKIより受講生全員に1本ずつプレゼントしていただき、そのネクタイを使って「プレーンノット」というオーソドックスな結び方のレクチャーを受けました。
 

プレゼントされたネクタイを使って結び方の講習を受けます

 
一方、女性向けにも同様の着こなしのポイントが説明され、スカートとパンツのイメージの違い、ブラウスやカットソーの合わせ方などを学びました。コートやパンプスなどの選び方もポイントを教わりました。奨学生たちはしっかりメモを取りながら、うなずきながら講師のお話に集中していました。
 
第一印象の大切さ「スキンケアやメイク、表情」
 
身だしなみのスキンケアやボディケア、メイクについては、資生堂ジャパン株式会社ソーシャルエリアパートナーが講師として、男女別に講習をしてくださいました。
 
最初に教えていただいたのは「色と心のつながり」という興味深いテーマ。「赤は情熱、青は爽やか、紫は優雅、緑は平和」などの色のイメージが持つ代表的な印象について解説がありました。色と心のつながり、色のイメージを知ることで、なりたい自分を表現したり、相手を知るきっかけにしたりと、色でコミュニケーションを取り、相手との良い関係づくりを目指します。
 

カラーチャートを見ながら色について学びます

 
男性のスキンケアも世に浸透してきましたが、今回は改めて皮脂分泌やひげ剃りの刺激など、男性特有の肌の課題をどう解決していくか、清潔な印象を与える「肌・ヘア・ボディ」のためのレクチャーがありました。
 
女性向けには同じく色によるコミュニケーションを学んだ後、効果の高いスキンケア方法、好印象を持たれるためのメイクアップポイントを、実践を交えながらレクチャーを受けました。皆さん、これまでメイクの経験はあったものの、改めて「好感度メイク」を体験してみて、仕上がりに大満足のようです。奨学生たちの健康的な笑顔がキラキラと輝いていました。
 

「好感度メイク」を体験

 
良い第一印象を心がけることで自信につなげる
「身だしなみセミナー」を終えて、講習会が終わり、参加者全員で昼食会場へ。講師の先生方に改めて感謝の気持ちを伝え、皆さん一緒にホテルのカレーライスをいただきました。ここでも「乾杯」の仕方やナプキンの使い方など、テーブルマナーについて学びながら楽しく会食しました。
 

セミナー後もテーブルマナーを学びながらの昼食

 
受講した奨学生からは
「ネクタイは自己流で何とか結んでいましたが、改めてレクチャーを受けたことできれいな仕上がりになりうれしいです。他の結び方にもチャレンジしてみたいと思いました」
「おしゃれと身だしなみの違いが分かりました。良い第一印象を心がけることで、その後のコミュニケーションにも自信が持てる気がします。スキンケアもメイクも自己流でしたので、プロの技を伝授してもらって大満足です」とのうれしい声が聞かれました。
 
午後からは『夢の奨学金 第1回交流会』がスタート。今回は6期生1名、8期生2名、今年度から奨学生となった第9期生4名が企画委員として交流会の構成やゲームを考え、当日も司会進行を務めてくれました。
 

会場を変えて、22名の奨学生の皆さんが交流しました

 
交流会は、22名の奨学生の皆さんが語り合い仲良くなっていただき、そのつながりや経験がこれからきっと役に立つとの思いで企画しています。
終了後は恒例の記念撮影。最後まで笑いが絶えない交流会となりました。