SCHOLAR

採択奨学生の動き

6期生認定証授与式

オンラインで門出を祝う

 

 

「日本財団夢の奨学金」の奨学生として新たに加わることになった6期生9人の認定証授与式が3月22日、行われました。東京都・赤坂の日本財団ビルと各奨学生とを繋いだオンライン形式です。出席した6期生7人は、奨学生に伴走するソーシャルワーカーや日本財団職員が見守る中、名前を読み上げられると元気に返事をし、笹川陽平会長から激励の言葉を受け取りました。

 

認定証授与式は例年3月に行われ、新規奨学生にとって、笹川会長をはじめとする日本財団の役員から直接、歓迎を受ける貴重な場となっています。また、同じ期の奨学生同士が初めて交流する大切な機会でもあります。

 

しかし、昨年は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて3月の開催が見送りとなり、感染者数の減少が見られた11月に、感染対策を講じて対面で実施されました。今回は、3月の開催を維持したうえで、初めてのオンライン開催となりました。

 

冒頭、対面で認定証を授与する代わりとして、職員が奨学生の名前を1人ずつ読み上げました。スーツ姿の奨学生たちは、緊張した面持ちで「はい」と返事をしました。笹川会長は、本来ならば手渡しする予定だった認定証を一枚いちまい眺め、奨学生の名前を読み、ビデオカメラの前で示しました。その都度、出席者から拍手が寄せられました。「おめでとうございます」という職員からの呼びかけに、奨学生にも笑顔が見られました。

 

オンラインで認定証授与式に出席する6期生ら

 

続いて、奨学生が自己紹介を行い、学校生活で頑張りたいことや将来の夢などを述べました。

 

4月から東京都の専門学校で学ぶ学生は、「訪日外国人向けツアーガイドになりたい」と夢を語りました。これから一人暮らしを始めることを念頭に、「学業と生活の両立ができるように健康管理に気を付けながら、毎日元気に学校に通いたいと思います」と話しました。

 

地方から上京し、声優になる夢に向けて専門学校に進学する学生は、「一人で生活するので、学校とバイトの生活を両立できるように頑張りたいです」と抱負を話しました。千葉県の大学に入学する学生は、将来の夢として、人をおもてなしするホテルのスタッフなどを挙げ、「進学先は国際大学なので、交流会や留学の機会に、自分の知識やスキルをさらに高めていきたいです」と決意を語りました。

 

奨学生の中には、これから進学する人のほかに、既に学びを進めている人もいます。東京都の大学院に通う学生は、修士課程に在籍しています。「オンラインでの研究活動が続いていますが、修士論文を書き、将来はアカデミック関係の仕事に就けたらと思っています」と希望を語りました。

 

青森県の大学で新2年生になる学生は、助産師になるのが夢と自己紹介。「ようやく対面で学校に行けるようになるので、積極的に自分の取りたい講義を受け、成長した姿で卒業できるように頑張りたいと思っています」と目標を述べました。大阪府の大学の3年生に編入する学生は、「将来は児童養護施設の職員になって、子どもたちを心から笑顔にできる職員なりたい」と夢を語り、「編入するので、コミュニケーション能力を生かして積極的に友達を作りたいと思います」と話しました。他にも児童養護施設の職員を目指して、大学に編入する学生がいました。

 

ビデオカメラを通して6期生に語り掛ける笹川会長

 

続いて、笹川会長が、奨学生に激励の言葉を贈りました。笹川会長は、日本財団の奨学金事業は夢の奨学金の他にも数多くあり、その奨学生は4万人近くにのぼっていることを紹介。そのうえで、「日本財団は新しい取り組みとして、(奨学金で縁ができた)世界中の4万人の方のネットワーク作りもやろうと思っています。みなさんには、日本財団という組織とこれからもずっとつながりを持っていただきたいと思います」と歓迎しました。

 

また、笹川会長は今年82歳になったと明かし、「太平洋戦争の時には6歳でした。私の町で生き残ったのは、私と母親の2人だけで、あとの人は全部死んでしまいました」と人生を振り返りながら、「そういう長い経験から言いますと、人生というのはいろいろなことが起こります」と語りました。

 

そして、「人生というのは、重い荷物を背中にしょって、坂道を上るようなものだ」という徳川家康の言葉を引き、「人は幸せそうに見えても、みんな重荷を背負って、悩みを持っているわけです。決して一時期つらいことがあったからと言って、それで人生が終わるわけではない。どんなに長いトンネルにあっても、必ず、先に明かりは見えてきます」と励ましました。

 

最後に、「毎日の生活の中で、悩んだりつらいことがあったりしても、『そうだ、笹川さんがあんなことを言ってたな』『ああ、笹川さんが、夜は長くても必ず夜明けがくると言っていたな』と、ぜひ思い出していただきたいと思います」とエールを送りました。

 

奨学生から笹川会長に質問する時間も設けられ、ある奨学生は、生き甲斐について尋ねました。笹川会長は「毎日、自分自身が納得して生活する努力をするということに尽きるのではないのでしょうか」と答えました。「あなた方もあと50、60年すれば私たちのような年齢になりますが、その時に、『ああ、一度だけの人生、頑張って来たな』と振り返られることが一番大事」と語り掛けました。

 

また別の学生は、落ち込んだ時にやる気を出す秘訣を質問しました。笹川会長は、「『ずっと落ち込んだままいるわけではない』と思えば多少の時間の差はあっても立ち直れます。心配しない方がいいですね」と話しました。そして、「落ち込み方はみんないろいろありますよ。勉強、恋愛…。いろんなことがありますけれども、それは一時的なものですから、必ず解決する。やっぱり楽観論がいいね、人生はね」と笑顔で締めくくりました。

 

 

笑顔でエールを送る笹川会長