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採択奨学生の動き

2018年度第3回交流会

任意の企画チームで初運営~フリートークできずな深める

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「日本財団夢の奨学金」の奨学生が集う第3回の交流会が12月1、2日の両日、東京都・赤坂の日本財団ビルで開かれ、学校の行事などで来られなかった人を除く18人が全国から出席しました。任意参加となった企画チームによる初めての運営で、フリートークなどを行いました。

 

交流会は初年度から行い、初年度は事務局が、そして2年目から徐々に奨学生自らが企画チームを結成し、運営を行うようになっています。今回はさらに発展し、それまでの通年の企画チームの枠組みをいったん取り払って、この回に特化した企画を行う有志を募って企画と運営がなされました。

 

初日の1日は、午後1時に財団ビルに集合。レクリエーションで会場の雰囲気を和らげた後、「自分の将来ビジョンとそれに至るまでの振り返り」をテーマにディスカッションを行い、夜は会食で親睦を深めるという流れでした。

 

レクリエーションは、毎回異なるゲームが用意されてきましたが、今回は特に頭を使うものでした。木へん、人べん、さんずい、りっしんべん、といった部首に対し、どれだけの漢字を挙げられるかを競うゲームです。3、4人のチームに分かれて、漢字を挙げ始めると、奨学生の表情も一気に生き生きとしてきました。

 

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漢字を書き出す奨学生たち

 

各チームが挙げる漢字の中には、「さんずい」に「会」という字を持ってきてつくった漢字など、実際にはありそうでないものもあり、笑いを誘っていました。中には、「さんずい」に「売」という字を持ってきた漢字が、苦し紛れで挙げたもののようであったにもかかわらず、実際には存在しているとわかるという場面もありました。

 

企画した有志の奨学生の一人は、仲間の奨学生の盛り上がりを喜びつつ、「例えばサンズイは常用漢字で100個ぐらいあります。でも、全チームとも挙げるのは10数個と、数にばらつきがなかったんです。これには驚きました」と話していました。

 

2日目は、午前9時半に再び財団ビルに集合しました。奨学生は近くで宿泊していましたが、中には未明まで語り明かすなど、話しは尽きない様子が表情に表れていました。開始直線にも、コンビニでおにぎりなどを買い込んで、一緒に朝食を取りながらおしゃべりする一団の姿もありました。

 

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2日目の冒頭は、今日何を行うかの意見集約

 

この日は、まず企画チームの有志が、奨学生全体に対して、交流会の残りの時間をどのように使うか意見を集めました。仲間と話す時間に使いたい、という声が大半だったことから、それをメインにした予定を組むことにしました。

 

話し合いの結果、2つのテーブルに分かれて話す時間になりました。前日に続いて、「自分の将来ビジョンとそれに至るまでの振り返り」をテーマにしたディスカッションと、話題は限定しないフリートークです。それぞれテーブルを用意し、各自が好きな方に座って語らいに参加する方式にしました。

 

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引き続き話し合われたディスカッションのテーマ

 

ディスカッションでは、自分の悩みを打ち明けて、仲間から意見をもらったり、励ましてもらったりする場面が度々みられました。テーブルの中央にはお菓子が置いてあり、それを勧め合いながら、仲間の率直な発言に耳を傾けていました。

 

ある奨学生は、精神保健福祉士を目指していたものの、最近になってその夢を辞めたと明かしました。その思いに至った経緯を説明した後、今後の進路のことなどを相談しました。

 

「今は、スクールソーシャルワーカーになりたいけど、公務員になるのは難しいし、いろいろな部署に配属されて、本来自分がやりたい児童福祉のことができなくなるかもしれない。調べたら、児童福祉系だけで回れるところがあって、それが大阪や神奈川にだから、この2つを志望先に考えている。正直、都会は苦手だし、勉強も苦手…。でも頑張りたい」

 

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仲間に自分の将来ビジョンや悩みを語る奨学生

 

これに対し、一緒にテーブルを囲んでいた奨学生からは、この相談者の奨学生が、通っている地方の大学周辺で、福祉に関するアルバイトを続けていることを挙げながら、「田舎と都市では、状況が違う。その違いを知っているのは、強みだと思うよ」と前向きに頑張れるようエールを送っていました。

 

フリートークのテーブルでは、さらに数人ずつに分かれて、日々の生活のことなどを話していました。生活費や夢の実現に向けて必要なものなど、お金に関する話題も少なくなく、それぞれの事情を共有しながら、工夫や解決のヒントを教え合っていました。

 

全体の締めくくりには、企画を担当した有志2人が、他の奨学生に向けて、今回の交流会の感想を出すよう呼びかけました。昨年とは異なり、お菓子を食べながらのカジュアルな“おしゃべり”に重点を置いた時間の使い方だったため、それを踏襲するかの判断材料も必要でした。

 

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企画を担当し、参加した奨学生に感想を求める有志2人

 

これに対し、参加した奨学生からは、高評価の声が多く聞かれました。

 

「自分のいいところを見せるだけじゃなくて、弱いところも出せる話し合いの場だった。弱い自分を受け止めてくれる人たちがいる。それが居場所。また来たいと思わせてくれる交流会だったと思う」

 

「お菓子とか用意して、しゃべって。客観的に生産性がないかもしれないけれど、こうした時間が共有できてよかった」

 

有志の一人は、「12月の企画チームはいったん解散します。次回、来年5月の企画をやりたい人、いますか」と呼びかけ、「今回、自分はやってみて、『自分だけでなく人にとっていい交流会は何だろう』と考える時間を持ってよかったと思う。ぜひみんなにも経験してもらいたいなと思います」と締めくくりました。

 

今年度の交流会はこれで終了です。次回、奨学生が集まるのは3月18、19日の2日間。再び日本財団ビルに集合し、これから決まる4期生も同席するなか、活動報告会を行います。