2018年度第2回交流会
東京・八王子の大学セミナーハウスで “合宿”の夏を過ごす
2018.09.25 (火)
「日本財団夢の奨学金」の第2回交流会が8月13日、14日の両日、東京都八王子市の大学セミナーハウスで開かれました。学校の行事などで来られなかった人を除く22人が全国から出席。自然豊かな環境にある宿泊施設で寝食を共にし、夏のひと時を楽しむ一方、腹を割った議論で盛り上がりました。
初年度から続いている交流会ですが、これまでは、アクセスのよい大都市圏の主要駅周辺で行い、宿泊もシングル部屋利用のビジネスホテルでした。前回の交流会で「8月の交流会は夏らしい場所で合宿しては」という意見が出ていたことなどから、今回は初めて、郊外での“合宿”形式になりました。
バス停から坂を上ると見えてくる、大学セミナーハウスの看板
会場となった大学セミナーハウスは、「静かな環境の中で人格的接触をはかりながら人生経験を持つことを目的として設立されている宿泊施設付きセミナー施設」(公益財団法人大学セミナーハウスHPより)です。近代建築の巨匠ル・コルビジェのパリのアトリエで学び、日本で住宅や市庁舎などを設計した吉阪隆正が手がけた建築物としても知られています。大地に突き刺さる逆三角形型の本館に、奨学生もびっくり。
初日の13日は、午後1時に集合。アクセスのよい東京・赤坂の日本財団ビルとは異なり、電車やバスを乗り継いでの長い移動ですが、奨学生たちは、大きなカバンやキャリーバックを手に、次々に元気な姿を見せました。緑豊かな環境に身を置いて、リラックスした表情です。怪我をして心配されていた奨学生も顔を出し、予想以上の回復ぶりに、仲間から驚かれる一幕もありました。
運用の説明をする事務局職員と、耳を傾ける奨学生たち
冒頭は、事務局からのお知らせです。第4期奨学生の募集開始を前に、運用に関する変更点やその理由などを現奨学生に説明するのが目的です。1年目はパイロット事業としてスタートし、本格始動となった2年目、そして今年の3年目と、夢の奨学金は進化を続けています。より継続的により適切に支援を行えるよう、制度としても成長しているのです。
夢の奨学金は、奨学生の学生生活の基盤を作っている重要な制度であるため、奨学生からさまざまな質問が出されました。学業の充実や夢の達成に向けて、努力やそれにかかる費用はひとり一人異なります。その分、質問は多岐にわたり、奨学生が事務局職員に追加の質問を投げかける場面もありましたが、時間の許す限り事務局職員が説明を続けました。「一人でも多くの後輩にお金(奨学金)が回るように」と言う事務局職員の話に、奨学生は真剣な表情で聞き入っていました。
質問する奨学生たち
続いて行われたのは、アンケート調査です。奨学生の中に、大学での研究で、社会的養護の子に関する問題を研究テーマに選んだ学生がいて、彼女がその研究の一環でアンケート調査への協力を呼びかけました。
「社会的養護の経験者を対象とした夢の奨学金。それを受給する奨学生の困難や生い立ちについて卒業論文という形で今研究をしています。調査をするにあたって、みなさまにアンケートをご協力いただきたいと思っています」
アンケートは匿名で答えるもので、主な問いは、「この奨学金が奨学生にどのような影響を与えたのか」。具体的には「どのように給付型奨学金を受給して変化していったのか」を尋ねる内容です。彼女は、答えたくないところは答えず、白紙のまま提出してかまわないことや、卒業論文以外で使用することは一切なく、調査完了後は、適切に破棄することを示し、ほとんどの奨学生が協力しました。
アンケートに協力する奨学生たち
この日の後半は、恒例のアイスブレイクゲームを行い、夕食はバーベキューを全員で囲んでさらに交流を深めました。また翌日は、交流会のあり方や、奨学金制度の目指すところといった大きな視点に立った議論が始まり、予定していた内容を急遽変更して議論を続行させ、1泊2日の日程を終了しました。
交流会の企画運営は、これまでも一部を奨学生が担当してきましたが、今後は、奨学生が責任をもって全てを担うことになりました。有志の企画チームを中心にした運営が、次回から始まります。次回の場所も企画チームによって設定される予定です。開催日程は12月1、2日で確定しています。