SCHOLAR

採択奨学生の動き

第1期生活動報告会

奨学金を得て経験した1年を振り返る

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「日本財団夢の奨学金」がスタートして間もなく1年となる3月23日、第1期生がこの1年をどのように過ごしてきたのか発表する活動報告会が、東京都・赤坂の日本財団ビルで行われました。1期生11人のうち、やむなく欠席した人を除く9人が発表し、2期生に決まっている15人も聴講しました。1期生は出席者からの質問にも答えながら、学校生活やサークル、ボランティア活動などで得た経験や発見を紹介しました。

 

第1期生11人は昨年3月28日に笹川陽平・日本財団会長から奨学生認定証を授与され、4月から奨学生としてサポートを受けてきました。この奨学金事業は今年度、パイロットプロジェクトとして中京地区で実施しました。そこで、1期生が暮らしているのは同地区がほとんどですが、中には中国、甲信越地方に進学した奨学生もいます。学年も、大学や短大、専門学校の1年生から大学院生までと多様、将来の夢もさまざまです。

 

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奨学生を激励する尾形理事長

 

冒頭、尾形武寿・日本財団理事長が会場を訪れました。2期生に続いて、1期生も自己紹介しました。1期生にとっては、尾形理事長との面会は8月に財団ビルで開かれた勉強会以来の再会ということもあり、笑顔が多く見られました。尾形理事長は奨学生全員に向かって、「自立して社会の中で立派に生きていくことも社会貢献」と話し、自分を大事にして生きてほしい、とエールを送りました。

 

続いて発表です。順番は1期生が話し合って決めました。事前に準備してきたパワーポイントのスライドを示しながら、マイクを持って話します。1期生が今年度参加してきた名古屋市での勉強会とは異なり、フォーマルな雰囲気での発表です。緊張の表情も目立ちます。

 

発表のメインは学生生活でした。「メイクアップの海外研修に行った」、「アート作品の展覧会に参加した」、「手書きで家の設計図を書いた」「栄養を計算した料理を作った」。写真付きの報告に、出席者からは「すごい」などの感心の声も上がりました。

 

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真剣に発表に耳を傾ける出席者ら

 

サークルやボランティア活動で気づいたことを共有する奨学生もいました。例えば、楽器演奏の練習や体操を始めた奨学生は、新たな経験を積むことや仲間の学生との交流が、いかに生活を前向きなものにしたのかを語りました。また、別の奨学生は、生活に困難を抱えた若い人に対するボランティア活動に参加して、自身の人生を紙芝居にして紹介したところ、他者の心の支えになったことを発見したと報告しました。

 

仲間の1期生やこれから奨学金を得る2期生に向けて、参考になりそうな個人的な経験を紹介する奨学生もいました。例えば、自分が目標としていた夢に向けて、迷いが出てきたことを報告した奨学生。迷いがどうして生まれたのか。どのような人の言葉や助けが役に立ったのか。紆余曲折の中で、何を思い、どう対応したのかを話しました。

 

発表の合間には、質問の時間が設けられ、出席者からの発言もありました。2期生からは特に、自分と似通った夢を持つ1期生に対して、関連の質問が出ました。英語の勉強方法といった一般的なことから、保育の実習を念頭においた子どもたちとの関り方や、アスリートをサポートする観点からの重要な勉強分野といった具体的なことまで、さまざまな質問がありました。

 

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1期生の発表を受けて質問する2期生(中央)

 

1期生は発表の中で、奨学金がなかったら現在のような夢を追いかける生活は送れていなかったとして、日本財団夢の奨学金への感謝を述べました。また、最後には2期生へのメッセージも伝え、「一緒に頑張りましょう」などの言葉で締めくくりました。

 

この日は、1、2期生が一堂に会する初めての機会ということもあり、活動報告会の終了後には、交流会も設けられました。この3月で大学卒業に伴い日本財団夢の奨学金プログラムも終了する奨学生に対して、サプライズの記念品贈呈を行った後、会食開始。活動報告会を終えてリラックスした奨学生たちは、互いに自己紹介するなどして和やかに歓談していました。

 

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交流会で食事を囲む奨学生たち