「日本財団夢の奨学金」第2回交流会・勉強会講義録
勉強と生活に悩んだらどうするのか
2016.05.28 (土)
勉強会講義録
テーマ:「勉強と生活に悩んだらどうするのか」
講師:千坂克馬氏(臨床発達心理士)
日時:2016年5月28日(土)
【サマリー】
<レポート作成>
1.あわてて書かない
余裕のないときはテーマの意図、ノートと資料の確認、トピックの拾い上げ、トピックの並び替え、それに基づく自分の意見を述べる事だけ最低限行う。
2.ストレスを感じたら作業時間を分散する
分散してちょっとずつ書いていき、置いている間にアイデアが浮かび書き足すというのが理想。
3.締め切りまで時間がないとき
資料集めは諦め、内容は電車の中や空き時間に考えておく。
4.自分のスタイルを確立する
<大学生活>
1.起床時間は固定する
睡眠時間はレム睡眠とノンレム睡眠を合わせて90分の倍数にする方が良い。
2.意図的に体を休める
仕事や休息のバランスが取りにくい時は、コーヒー、散歩、ストレッチ、外の景色を見る。
<人間関係・コミュニケーション>
1.相手の意見を聞く。
相手の意見を聞き、状況を判断して自分の気持ち、考えを伝えるようにしよう。
2.繰り返す事
上記1を繰り返す事によってコミュニケーションが取れていくようになる。
3.穏やかに距離をとる
相手に支配、振り回されていると感じたら、穏やかに敬意を持って距離をとる様にする。
<夢>
1.前向きに考える
100%どうしようもないという場合は殆どない。何かしらポジティブな部分を探す。
2.結論、原因を書き出してみる
多面的な視点から結論と原因についての確認を行う事で状況を把握する。
3.夢に対する関心を育てていく
その夢を追いかける中で自分は何を楽しもうとしているのか、というのを探し続ける事が大切。
【講義録】
まず始めに勉強の事についてどう考えれば良いのかについて説明していきます。勉強とはどういう事なのかという根源的な問題がございますが、基本的には勉強、学習というのは新たに学んだこととそれまでに学んだ事を関連付けて新たな知識を生み出す作業。実践的な物となれば体験だったり、知識と関連付けて体系付けていく。
ここでは学びについて説明していきたいと思います。皆さんつまずくのがレポート作成かなと思います。求められる事は様々ですが一般的にはテーマについて過不足のない説明を行い、引用文献を明記して、説明された事実に基づき何らかの結論、自分の考えを記述することになります。留意点としては出題者の意図を押さえる。まず与えられたテーマに沿ったものであること。よくあるのが引用文献を要約して自分の意見を述べているがテーマにずれてしまっている場合。先生も意図があって出題しているので、一般論をまとめているものは先生にとって面白くない。
2番目、教員が授業で教えたこと、あるいは定義した問題をある程度意識してまとめる。引用文献、それに関する自分の意見、それが先生が提起した問題とずれていると教員は面白くない。先生の意見に合わせる必要はないが、なんらかの自分の見解を出していったほうがよい。それに合わせて自分の新しい見解や意見を書く。そして慌てて書かない。複数のレポート期日が重複することはよくあることだと思うが、そこで慌てて書かないようにする。余裕のない時はレポートテーマの意図、ノートと資料の確認、トピックの拾い上げ、トピックの並び替え、それに基づく自分の理解、意見を述べる事だけは最低行いましょう。余裕があればテーマに関連する資料を収集し、自分が授業で学んだことにどう考えてその結論に至ったかが相手に伝わる文章になっているかを確認してみよう。早い話、レポートは先生のコミュニケーションと考えてもらえると思います。
だから先生の意図を無視すると先生も面白くないんです。もしストレスがかかるようであれば作業時間を分散させましょう。一気に書き上げるスタイルの人もいるし、一気に書き上げる人もいるけど、皆も分かってると思うけどこのやり方は体力を消耗するしストレスを増加させます。またアウトプットっていうのは集中してやると効果が下がります。やっぱり分散してちょっとずつ書いていって、寝かしてる間にまたアイデアが浮かんできて書き足していくとできていく。やっつけ仕事でやると次の文章を書いていくのに疲れてしまう。
学生さんだったら一週間で何本も書かないといけないから、疲れちゃう。そこらへんについては分散してやる事が大切です。
日程上厳しい時は資料集めはあきらめて、内容は電車の中など空き時間に考えると机に座った際に文章が出てくると。行き詰まると時間だけが過ぎていくのでそういう時は1日置いてみると次の日には書けるようになっています。だから最初の1行だけはすぐにでも書き出したほうが良いって事ですよね。見直す時にまた文章を足していけば良い感じに文章ができてくる。やっつけ仕事でもここまでやっておけば最低限単位を落とす事はないでしょう。
これをやるときは常に手元にメモを、書きかけのレポートをプリントして折りたたんでポケットに入れて、空き時間に見直したり、赤ペンで記入する。自分のスタイルを確立する。学習は最終的にアウトプットを求められるそのためにノートに図を書いたり、項目をカードにして組み合わせたりと様々な方法がありますが、一人一人の得意不得意に合わせてレポートを書き上げていくという事が大事ということになってくると思います。学び方として順番順番に学んでいく方法と横の繋がりの中で学んでいくのが得意な人など、自分の得意不得意をおさえていく方が良いと思います。
自分の手持ちの時間を考えるという事で知的探求は本来妥協してはいけません。ぎりぎりの時は力を入れる所と抜く所を考える。ずるしたと分かる手の抜き方はしないようにね。
基本的に知的好奇心はテーマと格闘する事によって満たされ、また真実は間違いの繰り返しの先にあるものです。大事な問題っていうのはじっくり考える。レポートを書く事とは別に大事な所は時間を掛けて結論を慌てずに。
先生との関係っていうのもね、仲間や教員との共同作業になりますので、相手の話を聞いた上で自分の意図を伝えていく必要があります。態度が悪すぎると実習に行かせてもらえないなどの不利益を被ることもあるので、できない事があれば教員に理由をしっかり伝えましょう。
次に生活ですね。大学生活っていうのは生活リズム乱れがちですよね。大学生は基本的に自由に時間を使えるので朝まで飲み明かして昼から寝て、みたいなこういう時にしか体験できないようなことですが、慢性的な疲れや不眠は学校に行けない等になるので生活リズムを整えることが必要になってきます。起床時間は固定して、睡眠時間はレム睡眠とノンレム睡眠を合わせて90分の倍数にすると良いでしょう。最低でも4時間半、6時間は寝てほしいですね。夜疲れ切ってあまり頭が働かない時は能率が落ちるので、早起きして勉強した方が効果的な場合もあると。心の問題も生活に現れる事がよくありますよね。食欲減退、過食、入眠困難や、途中あるいは朝早く目覚める等、生活リズム上調子が悪い時は注意して、ひどい場合は受診するという事ですね。
心のエネルギーが枯渇してくると「今これをやらなきゃいけないのはわかっているけど、体が動かない」という事がよくあります。そういう時はやるべき事を考える。よく能率手帳って本屋さんで売ってると思うけど、論文やレポートの作成について時間・日にち・週・月・年単位で考えるというのはみんながよくやっていることです。こういう時こそベッドには入らないように、スマホも可能であれば片付けると良いでしょう。文章の最初が思い付かずに前に進めない人もいますが、そんな時は先程言ったようにメモを持ち歩いて隙間時間に思い付きをメモしておくと良いでしょう。
燃え尽きやすい状態にある時は、仕事や勉強や休息のバランスが取りにくいことがあります。そのような時は意図的に体を休める必要があると。時間がなくてもコーヒー、散歩、ストレッチ、外の景色を見る等の時間を取りましょう。スマホや音楽、映像はリフレッシュできるようだけど、結構神経すり減らすので余暇には良いんだけど、疲れた時には止めたほうが良いと思います。
コミュニケーションについてですが、もめごとっていうのは色々あると思います。自分の言動に対して否定的な事を言われた場合、腹が立つのは人間として当たり前です。しかし相手の意見を聞き、状況を判断して自分の気持ち、考えを伝えるようにしましょう。それに対して相手の反発があると思いますが、これを繰り返す事によってコミュニケーションが取れていくようになります。
悲しいことにどうしてもうまくいかないこともあります。相手に振り回され、支配されているようでしたら穏やかに距離をとりましょう。立ち向かうのではなく冷静に敬意を持ってできない依頼はやりすごしましょう。
振り返り、様々な出来事があって、そこで自分の思い、そこで湧き上がる感情によって自分の理解やエピソードが形作られます。それが何らかの否定的感情に強く影響された場合、救いようのないナラティブが形成されることになります。溜め込むのではなく、信頼できる相手に話したり、日記に整理することによって具体的な出来事、相手の言動、その時の自分の気持ちや感情等について考える時間ができ、気付きを得られる場合があります。自分の感情に振り回されないためにも行いましょう。100パーセントの失敗、100パーセントの成功も存在しないと思います。日記を付けている人は幸福であると言われています。
夢にむけて、ですが大抵の夢は小さな努力の積み重ねによって達成されるものですので、目的に合わせて小さな達成を確認していく事、楽観的再構成と言われるのですが、だんだん近づいてきたなと感じる事が大切です。働くことになるとどうしようもない事案に当たることもあると思うのですが、100%可能性のない物っていうのは殆どない。探せば何かしらポジティブな部分を探せるのでそういう作業をやっていく方が良いと思います。そうはいっても上手くいかないことが重なることはよくある。ネガティブな時は思い込みに陥っていることがあります。
人は心が疲れている時は極端な思考をしがちです。たとえば全か無か、物事の誇大化・矮小化(「この過ちは絶対に取り戻せない致命的なものだ」)、結論の飛躍、過度の一般化、ラベリング(「こんな事が前にあったからこうだ」)、個人化(相手が忙しくて軽くあしらわれた出来事から、「自分はダメ人間だと思われている」と思い込む)。こうした考えに囚われるようになったら、結論とその理由について、多面的な視点から、あるいは考えられるたくさんの結論、あるいは原因を書き出してみる。この人の視点から見たらこうだ、この人の視点から見たらこうだ、ということを確認していくと自分が周りの状況をコントロールしているっていう意識を取り戻す事ができる。
夢って言うのは緻密な成功の積み重ねだけで達成されるものではありません。夢に対する関心を育み、育てていくことを忘れると、夢を達成した瞬間に人生が空しくなることもあります。社長を目指してなったけど、宝くじが当たったけど不幸になった。だから何の為に自分はその夢を追いかけているのか。その夢を追いかける中で自分は何を楽しもうとしているのか、探していくことが大事なのかなと思います。