「夢の奨学金」得て初めての4月を振り返る
奨学生 第1回交流会・勉強会
体調回復や「今、本当に楽しい」の声も
2016.05.13 (金)
第1回の交流会・勉強会に参加した奨学生たち
(後列左から荒井さん、蛯沢さん。同右端は日本財団職員の芳川)
日本財団が今年度、中京地区限定のパイロット事業としてスタートさせた「夢の奨学金」。その奨学生が新生活開始後、初めて集まる交流会・勉強会が4月23日、名古屋市で開かれました。大学行事などでやむなく欠席しなければならない人もいましたが、11人のうち県外への進学者も含む6人が参加。互いに生活状況を報告した後、外部講師から、お金の管理や使い方を教わりました。奨学金を受けたことで過度のアルバイトから開放され、体調が改善したという声が聞かれたほか、新生活で直面した悩みを打ち明けた奨学生に対しそれぞれがアドバイスの言葉をかけるなど、仲間同士の支え合いも見られる会になりました。
メニューはクレープ巻き。たくさんの種類の具が用意され、にぎやかな食事がスタート
くつろいだ雰囲気の中、奨学生が一人ひとり、自分の生活について語りました
奨学生同士の交流を深めたり、共通の課題について理解や知識を増やしたりすることを目的に開催。会場は、この奨学金の趣旨に賛同する、NPO法人こどもサポートネットあいちキッズおもちゃサロンで、参加者は、普段は子どもたちが読み聞かせを楽しんでいるというお座敷にテーブルを並べ、まずは昼食を共にしました。奨学生同士が会う機会はこの日で2、3回目とあって、名前と顔がようやく一致した様子でしたが、担当ソーシャルワーカーの荒井和樹さんも加わり、会話を弾ませていました。
食事の後は、順番に近況を報告しました。6人の学年は多様で、大学や専門学校の1年生は新しい学校での様子を、4年生は就職活動に関係する話題を紹介しました。奨学金を得て変化したこととして、複数の奨学生がアルバイトを減らすことができたと話しました。これにより、以前から抱えていた体調不良が改善したり、学業や他の活動の方により専念できるようになったりしたそうです。
また、新しい学びの環境に入った奨学生からは対人関係の悩みも聞かれました。これについては、荒井さんら運営側の大人がコメントしたほか、他の奨学生から「自分もそうだった」「こうすればどうかな」といった励ましやアドバイスの言葉が次々にかけられました。また、「勉強は大変で一日が終わるときにはぐったりしてしまう」としつつ、「大好きなことを学ぶことができて、今、本当に楽しい」と目を輝かせて語る奨学生もいました。
蛯沢さん。手にしているのは、自分の奨学金に関わる書類を全て保存した大切なファイル
一人暮らしの生活費、私立大学文系の学費、そしてその4年間の合計。
奨学生は蛯沢さんの話に熱心に耳を傾け、穴埋め式の資料に丁寧に記入していきました
終盤には、中京地区を拠点に、NPO法人理事など児童福祉の分野で様々な活動をしている蛯沢光さんが、「奨学金の金銭管理とお金の使い方」について話しました。蛯沢さんは、児童養護施設出身で、高校時代、大学進学に向けて4年間の支出を調べ、その工面を必死に考えたことや、奨学金の申請に必要な作文を数多く書いたことなどを紹介。また、お金が入ってきたら「使えるお金」と「使わないお金」を分ける、などといった具体的なポイントも解説しました。
蛯沢さんは、大学時代に奨学金返済や貯金のためにアルバイト漬けになり、体を壊したこともあったといい、「節約や貯金は大切だが、無理なく負担なくやることで長続きする。そのためにも、入ってくるお金と、出て行くお金を把握して、そのバランスを取ることを覚えてほしい。社会人になっても役立ちます」と呼びかけました。奨学生は、資料を基に収入にあわせた生活をイメージしながら、支出を管理することの大切さを学んでいました。
この交流会・勉強会は、今後も月に一度の頻度で開くことになっています。