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採択奨学生の動き

2022年度 第2回交流会

2022年12月4日 於日本財団ビル

 

2022年度2回目の「夢の奨学金交流会」が12月4日、日本財団ビル(東京都赤坂)にて開催されました。第1回に引き続き、感染対策を講じたうえで対面形にて開催され、奨学生およびOB、ソーシャルワーカー、日本財団職員総勢00名 が集い、講演会と奨学生企画のゲーム交流などを通して親交を深めました。

 

「夢の奨学金」では定期的に開催される交流会等の行事を通して、奨学生同士の親交を深めています。新型コロナウイルスの感染防止のため、久しくオンライン形式もしくはオンラインと対面のハイブリット形式で開催されていましたが、今年度は大阪での第1回交流会に引き続き、第2回交流会も対面形式で開催することができました。

 

最初に日本財団公益事業部・高橋恵里子部長より挨拶がありました。

「皆さん貴重な日曜日にお集まりいただいてありがとうございます。こうしてリアルでお会いできることをうれしく思います。本日はご自身も社会的養護のご経験をお持ちの川瀬信一さんにご講演をしていただきます。その後、奨学生が企画してくれたゲーム大会で交流を深めたいと思います。今日一日、どうぞよろしくお願いします。」

 

講演『子ども・若者の声が尊重される社会を描く』

 

交流会の前半は、「一般社団法人 子どもの声からはじめよう」代表理事の川瀬信一さんが講演を行われました。川瀬さんは里親家庭、児童自立支援施設を経験され、中学校教諭などを経て現在は内閣官房こども家庭庁設置準備室政策参与としても活躍されています。

 

写真 1 川瀬信一さんによる講演・ワークショップ

 

まずアイスブレイクということで、「今日の心と体のコンディション」を各テーブルでシェアすることからスタート。場が少し和んだところで、川瀬さんの子ども時代のお話をしてくれました。同じく社会的養護の経験を持つ奨学生も共感をもって聞き入っている様子でした。

 

続いて、川瀬さんが取り組んでいる「子どもアドボカシー」についての講演が始まりました。「アドボカシーとは子どもの小さな声を拾うマイクのようなもの」という説明から、子どもアドボカシーの6原則「①エンパワメント、②子ども主導、③独立性、④守秘、⑤平等、⑥子ども参画」など、奨学生にとっても非常に興味深いテーマについて、わかりやすい解説がありました。

 

3つのワークで探求セッションを実践

 

子どもアドボカシーについての解説の後は川瀬さんがファシリテートをして「探求セッション」が行われました。探求セッションでは、「社会的養護を経験したユースの声を尊重する社会にするためにはどうしたらよいのだろうか」という問いに対しての3つのワーク「声を大切にされた経験、無視・軽視された経験」「経験者としての声―良かったこと・改善してほしいこと」「子ども・若者の声を制度政策に反映させるには?」を行うというものです。

 

ワーク1では、ケアを受けている間やケアを離れたあとに「良かったこと、改善してほしいこと」を付箋に書き出しました。その内容を各グループで紹介して共有します。そして、内容が共通するもの、似ているものをまとめて、その付箋を集めてカテゴリーの名前をつけます。最後には各グループで出た意見を全体に向けて発表しました。

 

各グループとも、とても活発な話し合いがなされている様子。付箋に書き出したものをカテゴリーにまとめることで、良かったことや改善してほしいことが「見える化」されます。その後もワーク2に進みましたが、話し合いが盛り上がったということもあり、時間の関係で2つのワークで終了。ユニークなワークの手法でこれまでの経験を客観的に振り返るよい機会になりました。

 

写真 2 グループごとで出た意見をまとめて発表する様子

 

積木式自己紹介を経て「ito」ゲームスタート

 

昼食を挟んでの後半がスタートしました。今回は数年前に卒業した3期生や4期生のOBの皆さんもお越しいただき、改めてご挨拶をいただきました。皆さん現在の仕事や活動を報告してくれました。新聞記者、看護師、ビジネスコンサルタント、HP制作業、アニメーション会社、など様々な分野で活躍されており、よき先輩として現役の奨学生を励ましてくれました。

 

今回の交流会企画は5期生と6期生の奨学生が企画運営を担当してくれました。まずは改めての自己紹介。積木式自己紹介というユニークな方法で行われました。積木式自己紹介とは、自分より前に自己紹介を行った人の名前に追加して、自分自身の自己紹介を行うことです。最初は「山田さんの隣にいる佐藤です」、次は「山田さんの隣にいる佐藤さんの隣にいる鈴木です」と進めます。覚える名前がどんどん増えていくことで笑い合って盛り上がる、アイスブレイクのひとつです。

 

場も温まったところで、最初のゲームは「ito」のスタートです。「ito」は数字を言わずに、言葉だけでランキングを推理するチーム協力型ゲームです。袋の中に1から50番までの数字の紙があります。それぞれ1枚ずつ引きます。自分が引いた数字は誰にも言いません。

 

例えば、お題が「人気のおにぎりの具」だとしたら、1や2など小さい数字を引いた人は、人気の上位にくる具、例えば「鮭」などを言います。13だったら13番目くらいに人気の具材、40番台など大きい数字を引いた人は、あまり人気のなさそうな具を言って並べます。全員が数字の紙を並べた後、具材の人気度をみんなで検討してみてから捲ります。小さい順から大きい順の昇降順に並べることができたら成功です。

 

今回は「人気のお菓子」「家にある物の大きさ」「動物園にいる動物の人気順」など10個のお題にトライしました。ランキングの数字が揃うと「ワーッ!」と拍手で盛り上がっていました。10個のお題が終わったチームは「プロポーズして欲しい場所」など新しいお題を作って楽しんでいました。

 

写真 3 企画委員が考えてくれたゲームのお題

 

「Yes/Noゲーム」がなかなか当たらない!?

 

続いては「Yes/Noゲーム」です。その人が「好きな映画」「好きな食べ物」などをあらかじめスケッチブックに書きます。回答者はYesかNoで答えられる質問していきながら、答えを当てるゲームです。

「好きな食べ物」の場合は、「それはコンビニにありますか? Yes」「お菓子ですか? No」「和食ですか? No」など進んでいきます。好きな食べ物や飲み物の質問は「炭酸ですか? No」など、どんどん限定されていくので、早めに当てることができました。

 

一方、難しかったのは「好きな漫画」や「好きな映画」でした。「ジャンプの連載ですか? Yes」とはいえ、作品はたくさんあり、質問の仕方も迷います。好きな映画は「アクション系ですか? ホラーですか?」などたくさん質問が出てもなかかなか当たらなかったときもあり、最後に答えを教えてもらうこともありました。皆さん真剣に「この質問がいいんじゃない?」とあれこれ考えて、当たったときは大盛り上がり。最後に優勝チームを表彰して、ゲーム交流会は盛況のうちに終了しました。

 

充実した交流会は無事終了、次回は活動報告会へ!

 

交流会の最後に、ソーシャルワーカーのみなさんから一言ずついただきました。

「東京会場では久しぶりに、OBの方ともお会いできてよかったです。卒業後、最初の目標通りに進んだ方もいれば、違う道に進んだ方もいらっしゃいます。どんな道に進んでも健やかでいられることが何よりだと思います。在学中の皆さんもこのつながりをぜひ大切にしてください」

「ソーシャルワーカーではありますが、奨学生からもさまざまな影響を受けています。仲間と支え合って、お互いに影響をしあえる関係がとても大事だと思います」

「楽しいゲームを企画していただきありがとうございました。企画運営ありがとうございました。これを機に、縦のつながり横のつながりを新たに作ってください」

「卒業生もお忙しい方もお時間を作ってきてくれてありがとうございました。このような貴重な機会にご一緒できて楽しかったです。」

 

最後にアフターケア事業部の藤川部長から、「企画運営のお二人が、ギリギリまで企画を練ってくれてがんばってくれました。こんなに盛り上がって、私たちソーシャルワーカーも楽しませていただきました。ありがとうございました」などのご挨拶がありました。

 

以上で夢の奨学金2022年度第2回交流会は閉会しました。閉会後には恒例の集合写真を撮影。帰り支度をしながらも奨学生同士やソーシャルワーカーが名残惜しそうに会話する姿が見られました。次回は3月の活動報告会になります。そのときを楽しみにがんばっていきましょう。