SCHOLAR

採択奨学生の動き

38人が面接へ

第2期生募集 1次審査終了

書類を審査する日本財団職員

 

「日本財団夢の奨学金」はこの夏、2017年度の申請を受け付け、119人の応募がありました。1次審査(書類)の結果、このうち38人が2次審査に進むことが決まりました。10月から12月にかけて面接が行われ、年末には奨学生が決定する見込みです。

 

夢の奨学金は今年度、パイロット事業として中京地区限定で実施。第2期にあたる来年度が本格スタートとなります。全国規模への拡大に伴い、対象者も現在の11人から20~30人と大幅に増員。全国の社会的養護出身に対し、夢の実現を支援します。

 

第2期の募集は8月の1カ月間で行われ、申請は北海道から沖縄まで全国から寄せられました。関東が48人と最も多く、関西26人、中京19人と続きました。年齢は、高校2年生から30歳代の大学院生までと幅広く、大学の進学を予定していたり、現在在学中であったりする人が目立ちました。

 

夢の奨学金はこれに限らず、職人志望の人や、改めて進学を希望している社会人も支援の対象としています。こうしたケースは、第1期の奨学生には見られませんでしたが、今回の応募には数人の該当者がいました。また、志望職種はさまざまでしたが、児童養護施設職員といった本人にかかわりの深かった職業を目指している人の割合が比較的多く見られました。

 

募集期間中に受け付けた質問の中で多かったのは、対象者となっている「児童養護出身者」の定義です。「自分はかつて乳児院にいたのですが、当てはまりますか」といった問い合わせです。また、「措置延長者はどういう扱いになりますか」という質問もありました。問い合わせをしてくださった方は、当事者ではなく、里親の方や児童養護施設の職員の方がほとんどでした。

 

%e5%86%99%e7%9c%9f2

第2期の申請書

 

この度行われた1次審査は、夢の奨学金が対象としている奨学生像に近い人を、書類を通して選ぶ作業です。選考の決め手は、書類に書かれている内容以外にありません。そのため、応募者のやる気や情熱をくみ取ろうと、職員は送られてきた応募用紙を一枚いちまい丁寧に読みました。

 

その過程で最も重視されたのは、「どんな人になりたいか」と「どのように社会に貢献していきたいか」の2点です。これらは、ロールモデルとして未来の社会で活躍できる人材を育てるという夢の奨学金の理念に直結するポイントです。前者については大多数の人が書いていましたが、後者については記述が薄かったり、ほとんど書いていなかったりする傾向がありました。

 

その他に重視されたのは、「生い立ち」欄の記述です。これは、今回新たに加わった項目です。なぜ社会的養護出身となったのかを書くものですが、審査の過程で注目されたのは、具体的内容ではなく、自らの言葉で説明できるかでした。応募者が、自分の過去を受け止め、そのうえで夢に向かって努力をする準備ができているかを審査するためです。記述の分量や濃淡は、応募者によってまちまちでした。

 

%e5%86%99%e7%9c%9f3

申請は全国から寄せられました

 

担当した職員は、「1次審査は書類が全て」と強調した上で、「私こそ奨学生として相応しいという熱意と思いを、具体的に書いてください。志望職種も、お金の心配はせずに広い選択肢から選んでもらえたら」と話しています。また、今回残念ながら2次審査に進めなかった人に対しても、「何度でも応募は可能です。人生プランなど記述があいまいだったことが理由で2次審査に進めなかった人も多いので、今回の応募書類を見直し、改めてしっかりと文章でまとめて、また応募いただけたらと思います」と話しています。

 

日本財団では、夢の奨学金を来年度以降も続け、奨学金をより必要としている全国の社会的養護出身者に届けることを目指しています。しかし、応募者の状況を細かく見ると、この奨学金について知り得たのは、進学に関する情報収集に熱心な里親の方や施設職員の方が周りにいたおかげだったという人が、圧倒的に多いのが現状です。担当職員は「日本財団でもさらに広報を充実させていく予定ですが、今回この奨学金について知った方には、情報拡散もお願いできたらと思っています」と話しています。