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採択奨学生の動き

2019年度第1回交流会

1~4期生の交流スタート 離任職員との別れ惜しむ場面も

「日本財団夢の奨学金」では、全国の奨学生が集まる「交流会」を定期的に開いています。その2019年度第1回交流会が5月25、26日の両日、東京都・赤坂の日本財団ビルで開かれました。参加したのは、学校などの行事でやむを得ず来られなかった奨学生を除く24人。恒例の近況報告やアイスブレイクゲームなどを行ったほか、奨学生にとって一つの節目になるニュースも発表されました。

 

 

「日本財団夢の奨学金」はこの春、4年目がスタートしました。奨学生の人数も初年度と比べると大きく変化しています。奨学金からの“巣立ち“も増え、1期生は採用当時大学1年生だった3人が、4年生となって残るのみ。一方で、2期、3期、4期と新たな奨学生が毎年加わって、全体では数十人規模のコミュニティに成長しました。

 

交流会は初年度から行っています。規模が大きくなり、奨学生の顔ぶれが毎年少しずつ入れ替わることから、「互いを知る機会」としての側面が一層色濃くなっています。交流会の企画進行も、現在では奨学生有志が交代で担い、主体的な運営が始まっています。

 

今回の初日25日は、米国のトランプ大統領の来日当日でした。近くに首相官邸や米国大使館がある日本財団ビルの周辺では、警察官の姿が目立つ物々しい雰囲気です。奨学生は、その光景を珍しそうに眺めながら午後1時、明るい表情で集合しました。

 

前回、奨学生が集まったのは3月の活動報告会や認定証授与式で、リクルートスーツといったフォーマルな服装の着用が必要でした。今回は一転、それぞれが普段着での参加です。4期生にとっては初めての交流会ですが、カジュアルな服装ということもあって、開始前から和やかな談笑の声が響きます。

 

会場フロアに新たに設置されていた社会貢献自動販売機「夢の貯金箱」で各自飲み物を調達して、交流会の開始です。この自動販売機は、飲料1本につき10円が社会貢献プロジェクトに寄付されるという特別な販売機。寄付の一部は奨学生の支援にも活用されていると事務局の職員が紹介し、奨学生は興味深そうに購入していました。

 

初顔合わせの奨学生による自己紹介

 

冒頭は、認定証授与式を欠席したために初顔合わせとなった奨学生1人が自己紹介を行いました。四国から駆け付けた大学1年生です。彼を拍手で迎えた後、今回の企画運営を担う奨学生有志の声掛けで、「住んでいるところが近い人」同士でグループに分かれて着席しました。「近くに住んでいる人を知って、普段から助け合える関係を築くこと」(奨学生有志)が狙いです。

 

グループに分かれての活動はこれまでにも度々ありましたが、住んでいるエリアを基準にグループ分けすることは初めてでした。奨学生たちは日ごろからSNSなどを通じて交流をする機会も持っていますが、居住地を強く意識することはあまりなかったようです。「どこ(に住んでる)?」とにぎやかに声を掛け合い、程なくして4~5人のグループが4つできました。北海道・東北、東海・北陸・近畿、関東・甲信越、中国・四国・九州の4つです。

 

グループ内でまずは自己紹介です。名前、学校名、学んでいる事柄、住んでいる場所についてそれぞれが語ります。「学校は、名古屋駅前のあのグルグルの(形が面白い)ビルです」、「あー、『就職の・・』のCMの(学校)?」など、同じエリアで住んでいるからこその会話も弾みます。

 

「実は自己紹介」で盛り上がる、中国・四国・九州グループ

 

それぞれのテーブルで、自己紹介が一巡した頃、再び奨学生有志によるアナウンスがありました。「次は『実は自己紹介』をやります。実は…と切り出して、もっと深い自己紹介をしてみてください」。一斉に頭をひねり出す奨学生。「実は…」「実は…」というつぶやき声が、呪文のようにあちらこちらから聞こえてきました。

 

あるテーブルでは、「しょうもないことでもいいですか」とある男子学生が、口火を切りました。「実は、明日、半年記念日です」。彼女と付き合い始めて半年になるという紹介に、「おー!」「すごい!」「おめでとう!」と歓声があがりました。

 

これをきっかけに、他のメンバーも身近な話題を思い出して次々に紹介。「実は、トイレに扇風機のリモコンを落として流してしまったことがあります」。「高校生だった昨年、部活動をやめてから体重が25キロ増えて、大学に進学したら今度は10キロ減りました」。印象に残るエピソードが数多く飛び出しました。

 

竹ひごタワーゲーム。最も高いタワーは安定感も抜群

 

テーブルのメンバーがすっかり打ち解けたところで、次の活動に移りました。以前にも交流会で行ったことがある「竹ひごタワーゲーム」(紙バージョン)です。和気あいあいと取り組めることから、初対面の奨学生同士の交流にぴったりだと好評だったことから、再びプログラムに盛り込まれました。

 

竹ひごタワーゲームは、竹ひごやテープなど限られた材料を使ってタワーを作り、制限時間内に作ったタワーの高さを競う遊びです。今回は、A4サイズの紙だけで挑戦することになりました。

 

制限時間は15分。「はい、スタート!」の声を合図に、一斉に作業に取り掛かります。まずは話し合って作戦を立てるチーム。話し合いもそこそこに、メンバーが思い思いに紙を折り始めるチーム。やり方はさまざまです。三角柱と一枚紙を交互に置いたチームが、最も高く、安定感のあるタワーを作りました。飛行機を立てたり、箱を重ねたりと、形の妙を評価する芸術点を稼ぐチームもありました。

 

異動のお知らせに息をのむ奨学生たち

 

初日のプログラムは、その他に近況報告などを行って終了しましたが、最後に事務局から連絡がありました。人事異動により事務局体制が切り替わるというお知らせです。会場は、どよめきに包まれました。「皆さんが夢に向かって進む姿をこれからも応援しています」。離任する職員の言葉を、奨学生は最後まで名残おしそうに聞いていました。

 

次回の交流会は8月24、25日、再び日本財団ビルで行われます。事務局新体制での初めての交流会となります。

 

離任のあいさつをする職員と、別れを惜しむ奨学生