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採択奨学生の動き

2016年度活動報告会レポート[3]

近藤萌さん 名古屋芸術大学美術学部1年生

2017年3月23日に行われた2016年度活動報告会で、1期生が発表した内容をレポートします。第3回は、名古屋芸術大学美術学部1年生の近藤萌さんです。(※学年や時制は報告会当時です)

 

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近藤さんはまず、6歳から16歳まで10年間、児童養護施設で暮らしていたこと、在籍しているコースでは、油絵や日本画、版画、ガラスといった様々なジャンルが学べることなどを紹介し、奨学金を受けたことで、生活ががらりと変わったと話しました。奨学金を得られていなかったら、大学進学はもちろん叶わず、アルバイトで生活費をねん出するのにやっとの生活を送っていただろうと言いました。

 

奨学金を得て変わったことの一つとして、近藤さんはアルバイトの時間が減ったことを挙げました。施設を出て16歳から独り暮らしをしていた近藤さんは、家賃など生活費を全て自分でまかなうため、以前アルバイトを5つほど掛け持ちする時期がありました。「今では自分の時間が持て、自分が学びたかったことが学べる。これほど嬉しいことはありません」と、生活費も支給されることへの喜びを語りました。

 

この初年度となった1年間について、「充実していた」と振り返り、近藤さんは、授業で制作に取り組んだ作品を写真で紹介しました。基礎を勉強する初めての機会だったという、木炭で描いたデッサン。年度末に開かれる展覧会に出した作品。夏休みの自由制作。紹介された近藤さんの作品には、自身が「好き」と語る花や植物をモチーフとしているものもあり、生き生きと制作に励む様子が伝わりました。

 

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近藤さんの作品。肋骨と花がモチーフ

 

最後に近藤さんは、出席していた2期生に対し、「期待と共に不安もあると思います」と思いやったうえで、「少しでも皆さんの力になりたい。困ったことがあればいつでも相談してください」と話しました。

 

 ※近藤さんはこれまで匿名としていましたが、この活動報告会を機に実名を公表することになりました。